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この度,日本複合材料学会の会長を務めさせていただくことになりました.学会の更なる発展のため微力ながら努力したいと考えております.まずは,小笠原俊夫前会長と執行部の2年間の継続的なご尽力に感謝いたします.特に,昨年度1年間は新型コロナ感染症の影響により,学会活動も大きな制約を受ける中,様々な困難に対応いただきました.いまだ,前が見通せない状況ですが,前期までの活動を継承しつつ,アフターコロナにおけるさらなる発展を目指したいと思います. 2015年から始まった一般社団法人日本複合材料学会としての学会運営は歴代の学会長お及び執行部のご尽力により円滑に遂行できるようになってきております.この体制下での運営は理事や監事の皆様の献身的なボランティア精神によって支えれられており,引き続きご協力をお願いする次第です.学会事務局(学会支援機構)の適切なサポートにも感謝いたします.多くの学会が会員数を大きく減らすなど苦戦を強いられる中,本会会員数はほぼ現状維持できており,複合材料シンポジウムや日本複合材料会議(JCCM)などの各種講演会,研究会・講習会などでは引き続き活発な活動,議論がなされています.コロナ禍において,すべてのイベントをオンライン形式とすることが余儀なくされておりますが,関係各位のご尽力により,効果的な開催がなされています. このような状況の中,邦文誌・欧文誌(Advanced Composite Materials)の役割が増していると思われます.邦文誌では, グリーンコンポジット,アコースティックエミッション, 熱可塑複合材や3Dプリントに関する特集号を組んできました.また,さらなる紙面充実を目指し,これまではICCMのみ報告記事を載せておりましたが,ECCMやASCなど他の複合材に関する主要な国際学会についてはできる限り報告記事を掲載する予定としています.欧文誌のインパクトファクターは急上昇中で2020年には2.870となりました.ジャーナルのステータスが上がるにつれて投稿数も増えている状況ではございますが,会員の皆様には引き続き質の高い論文の投稿をお願いいたします. 残念ながら国際交流活動(日米と日欧,日中と日韓を統合した枠組みの国際会議や種々の二国間会議など)は予定が立てられていません.また,2025年に招致を目指していたICCMについても,ICCM自体の延期により一旦その活動は中止しております.コロナの状況を見ながらその後の飛躍のチャンスを伺いたいと思います. 国内会議につきましては,オンライン形式とはなりますが,10月に複合材料シンポジウムが行われます.その場で皆様と議論,情報交換できるのを楽しみにしております.2022年3月には大阪でJCCM13が開催予定であり,オンラインか対面かこれから議論がなされるものと思われます. コロナの影響で皆様の仕事の進め方が大きく変わったところかと思います.オンラインの利点を最大限活用する中で,やはり以前の対面での人間関係の構築の重要性も再認識しております.先の見通せない中での学会活動となりますが,後の飛躍への準備期間ととらえ,様々努力していきたいと存じますので,会員の皆様のご支援・ご協力をお願いいたします. | ||
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今期より,日本複合材料学会の会長を務めさせていただくことになりました.微力ですが学会の発展のために努力していきたいと考えていますので,皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします.まずは,河井昌道前会長と執行部の2年間にわたる学会活動の活性化などの継続的なご尽力に深く感謝申し上げます.私も前期の活動を継承しつつ,さらなる発展を目指す努力を行っていきたいと存じます. 一般社団法人日本複合材料学会としての学会運営が2015年からスタートし,本年度は5年目を迎えます.法人化により会計や資産管理,運営に関わる法的な諸手続きなどの責務は重くなりましたが,庶務・会計理事,監事,学会事務局(学会支援機構)の皆様によるご尽力により,滞りなく円滑に事務運営がなされるようになっています.法人化後,会員数は漸増傾向であり,日本複合材料会議(JCCM)や複合材料シンポジウム,各種講演会,研究会などでの講演者数・参加者数も堅調です.法人化前後に進められた学会の財務改革が功を奏し,講演会・シンポジウムの堅実な運営,出版委員会による学会主催セミナーの定着化なども相まって,学会の財務状況も安定してまいりました.邦文誌・欧文誌(Advanced Composite Materials)の出版も堅調で,特に欧文誌については2018年のImpact factorが1.39となり,複合材料に関する中堅の国際ジャーナルとして安定的なステータスを得るようになっています.これもひとえに歴代会長・執行部の皆様,各会員の皆様のご尽力によるものであり,この場をお借りして深く感謝を申し上げたく存じます. 複合材料は学際的な工学分野ですが,同時に学術研究と実用化(社会実装)との距離が比較的近く,産―学―官連携による取り組みが効果的な技術分野でもあります.日本複合材料学会は,学会の規模が比較的小さいこともあり,産―学―官の会員間で比較的親密な関係を構築しやすい雰囲気があるように感じています.このような特長もあって,学会活動を通した産―学―官ネットワークをもとに,共同研究や共同プロジェクトに進展する例も多いようです.現在,経済産業省,内閣府,文部科学省により,自動車,航空機,社会インフラなどへの適用を目指した複合材料に関する大型研究プロジェクトがいくつか進められていますが,プロジェクトリーダーや中核メンバーとして,本学会の産学官の会員が数多く活躍をしています.最近の講演会や投稿論文を見てみると,従来からの中心的なトピックであった複合材料のメカニクスに偏ることなく,「ものづくり」や「ものづくりの科学」に関わる研究発表も増加傾向にあり,昨今の研究動向を垣間見ることができます.今後も学術と技術を両輪として,本会の活動が益々発展することを期待しています. 日本複合材料学会は伝統的に国際的な活動にも積極的であり,本学会の役割は国際的にも認知されています.日米・日欧・日韓・日中・日加の各二国間会議,アジア・オーストラリア複合材料会議(ACCM),そして国際複合材料会議(ICCM)など数多くの複合材料に関する国際会議が,当学会の主催,共催として開催されています.一方で,学会規模に比して国際会議が少々多いのも事実で,幹事や関連する会員の皆様のご負担は少なくありません.このような背景から,2019年に韓国 昌原市で開催される第12回日韓複合材料会議については中国からの参加者も募ることとなり,実質的に日韓・日中を統合した枠組みでの国際会議(The 1st Korea-China-Japan Joint Symposium on Composite Materials)となる予定です.また,2020年には日米・日欧を統合したUS/Japan - EURO/Japan Joint Conference on Composite Materialsが東北大学で開催されることとなっています.日本複合材料の国際活動については,整理を進めつつも,引き続き積極的に取り組んでいく予定です. 会員の皆様が本学会に参加されることによって,学術的あるいは実用的に得られるものがあったと感じて頂けるような有意義な学会となるように心がけていきたいと考えています.繰り返しとはなりますが,本学会運営にあたっての皆様のご協力とご支援を引き続きよろしくお願いいたします. | ||
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この度学会長に就任いたしました.どうぞ宜しくお願い致します. この度学会長に就任いたしました.微力非才の身ではございますが,本会の社会的な役割を果たすべく努力いたす覚悟でございます. 一般社団法人日本複合材料学会としての正式な活動が2015年4月1日より青木前会長の下で開始しました.任意団体から一般社団法人への移行には運営に大きな変化を伴いましたが,移行期および移行後第一期の理事会のご尽力ならびに会員の皆様のご支援のお陰を持ちまして大きな混乱もなく学会業務が継続されています. 本会が法人格を取得することによって大きく変わった点は,まず,理事会が18名以下の理事と2名の監事,総数22名以下に制限され,任意団体のときの35名程から大きく数を減らしたことです.事業内容は逆に増えている面があり,業務執行理事の負担が増す結果となっています.このため,事業計画や実施方法には一定の合理化が避けられない状況にあります.この問題については,前期理事会におきましてご議論を頂いたところですが,今期も引き続き知恵を出しあって前進基調を維持しながらの対処法を模索して行きたいと思います. もう一つの大きな変化は会計や登記などの手続きが厳しさを増したことにあります.収支決算や資産管理などについて会計報告が法律の規制に従うところとなり,その責務が従前以上に重くなりました.法人化後第一期の前期理事会においては,各種事業収支の精査に基づいて,事業展開の適正化と収支の安定化について深い議論がなされ,収支バランスの正常化に向けた道筋が付けられました.今期はその基調に従うとともに,基礎収支の一層の健全化に努めます. 本会は,定款に記載のとおり「会員の研究発表,知識の交換並びに会員相互間及び内外機関との連絡連携の場となり,複合材料及び複合材料構造に関する科学技術の進歩発展に寄与し,もって社会の繁栄に貢献すること」を目的としています.この目的は前身の任意団体の時代から変わるものではありません.一方で,会員各位の環境だけでなく,情報の発信や共有の方法が大きく変わりつつある現状を直視して,それに即した学会と会員に繋がり方と事業展開の在り方を模索していく必要があります. インターネットベースのデスクワークが多くなる傾向にあります.このことは会員に向けてのインターネット広報とその充実ならびにその適時性が益々重要になっていることを示唆します.このような状況にあって,定期的にはリアルなコミュニケーションの機会をもつことが健全性のために不可欠であるように思われます.本会主催の講演会等は会員が繋がりを維持促進する上で重要な機会です.情報セキュリティやコンプライアンスの遵守などについて事務手続きが増加していることもあり,多くの会員が時間的に余裕のない状況におかれています.このため,会員が少しの時間を確保してそれを共有することに一層の満足度を期待する傾向は増しているといえます.参加したいと思って頂けるように,また活動の場として新規に選択して頂けるように,これまで以上にオープンで質の高い場が提供できるように事業を展開し,それが会員増強への一助となるように務めたいと思います. 複合材料は,ユニーク性を高めるための応用だけでなく,その特徴を活かした汎用的な応用も求められています.複合材料の進化と発現する材料特性や付随する挙動の多様性に興味は尽きません.複合材料の科学の発展と技術の確立は基礎と応用において層の厚い研究者と技術者を擁することに負うところが大きく,オープンな育成の場として,また内外に対するプレゼンスの強化基盤として,本会の重要性は増しています. 法人格を取得したことによって各種の受託や提携が可能になったメリットを活かすのはこれからの課題となります.複合材料分野の人の繋がりの促進と複合材料分野の科学・技術の発展のために,皆様のご理解とご支援ならびに本会への積極的な関与を宜しくお願い申し上げます. | ||
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この度学会長に就任いたしました.どうぞ宜しくお願い致します. 学会として前々会長の影山先生の時に法人化の方針を決め,それが北條前会長のご尽力で実行に移され,昨秋一般社団法人日本複合材料学会が発足しました.約半年の移行期間を経て,この度の代議員による社員総会を以って本格的に新法人がスタートすると同時に,24名の全役員が新しい法人の下で活動を開始しました. 法人化は学会にとってはゴールではなく新たな飛躍へのスタートです.法人格を得ることで学会は外からの目に晒され,役員の選任や予算の管理,執行といった運営面で,法人としての制約が課せられます.当然ながら納税の負担もその一環で,一見メリットはないように見えます. しかしながら法人化は確実に学会の対外的な地位を高めます.実際,今までは工学系の学会が加盟する日本工学会等の組織には加盟しつつも,実質的には学会としての対外活動は殆どしてきていませんでした.今後は他の学会と対等に,横の連携を図りつつ活動範囲を広げることも可能になります. 一方で,法人化は資金的,人的な負担増も強いることになると予想され,それを支える基盤は,いうまでもなく会員増強を通じた学会活動の活性化です.本学会は幸い航空宇宙や自動車など,これからしばらくは複合材料の利用が拡大すると予想される複数の分野に近く,こういった複合材料の新しい適用分野の研究者,技術者,特に企業所属の方々を取り込むことが不可欠です. また,ここ数年各地に複合材料の名を冠したセンターが設立されて,それぞれ独自の活動が始まっていますが,これらの相互の連携は殆ど見受けられず,いわゆる相乗効果の発現は限られています.本学会がこれらを結びつける役割を,積極的に果たすことも可能でしょう. この2年間は,前述のとおり法人化した学会の対外的なプレゼンスを高めつつ,より幅広い分野,所属の方々が会員になることのメリットを感じられるような場である学会になるよう,微力を尽くしたいと思います.また,学会が複合材料分野の活動拠点をつなぐ役割を少しでも担えるよう,理事会を核として知恵を絞りたいと考えています.どうか複合材料分野の発展のために,皆様のご理解と学会への積極的な関与を宜しくお願い申し上げます. | ||
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今期より日本複合材料学会の会長を務めさせていただくことになりました.微力ですが学会の発展のために努力していきたいと考えますので,皆様のご支援,ご協力をよろしくお願い申し上げます.まずは,影山和郎前会長と執行部の,2年間にわたる学会活動の活性化など,継続的なご尽力に深く感謝いたします.私も前期の活動を継承しつつ,さらなる発展を目指す努力を行っていきたいと存じます. 昨年は年明け早々から複合材料の期待の星であるBoeing787が,バッテリーのトラブルにより長期運行停止にみまわれました.幸い5月末に運行が再開され,その後も順調に運行されております.私も運行再開後は本会理事会など東京出張の際に伊丹からBoeing787を利用することができ,複合材料ならではの快適な旅をすることができました.6月にはフランス,トゥルーズにてAirbus A350XWBが初飛行し,航空機の一次構造材料が複合材料であることが普通の時代になった感があります.私が影山前会長とともに筑波で複合材料の研究を始めた1981年当時,Boeing767などでCFRPがようやく補助翼などの二次構造部材に使われはじめたことを考えると,感無量の思いになります.日本の炭素繊維などの材料技術,複合材料構造の製造技術は国際的に見ても非常に優れており,これらの技術が上記の複合材料の民間航空機への利用拡大に貢献していることは非常に喜ばしいことであるとともに,先人のご尽力に感謝したいと思います.また,複合材料の発達過程が研究者としての人生とうまく重なった幸運に恵まれたと思います. 私事になりますが,1986年に初めて海外出張の機会を得たのは,林毅先生,森田元会長,影山前会長に同行させていただいた第1回日瑞複合材料セミナーでした.このセミナーをはじめ次世代プロジェクトの報告会などで林先生が常に会場の最前列に座られ,的確な指導と鋭い質問でご指導をいただきました.また,筑波と京都の両方において,これまで会長を務められた先生方をはじめ複合材料学会を担ってこられた諸先生方には,温かくかつ丁寧なご指導をいただきました.会長としての職務はこれまでの恩返しをするまたとない機会であり,特に若手の研究者,技術者の方々の将来をさらに明るいものにすべく,その育成に重点をおきたいと考えております.昨年度は若手会員により分子シミュレーション研究会も設立され,今後の発展とこれに続く新しい研究会設立を大いに期待しております. 本学会では,昨年3月に第4回日本複合材料合同会議が東京で実質的に初めて開催され,300名を越す参加者がありました.カナダで開催されたICCM-19にも多数のご参加をいただき,この分野での日本の存在感を示すことができました.9月には第38回複合材料シンポジウムと第9回日韓複合材料ワークショップが鹿児島で同時開催され,韓国側から49名の参加を得るとともに,合計参加者は約200名の盛況でした.さらに日本の人工衛星の故郷である内之浦の見学ができたのも貴重な機会でした.これらの開催に当たっては,JCCM担当理事の東大青木隆平先生,行事担当理事と実行委員長を兼任された東レ武田一朗様をはじめ,実行委員の皆様に大変お世話になりました.深くお礼を申し上げたいと思います. 今年もまもなく3月に京都で第5回日本複合材料会議が開催されます.文字どおり,『日本を代表する複合材料に関する会議』に成長し,今回から名称もこなれたものに修正されています.9月にはアメリカ,サンディエゴで第16回日米複合材料会議が米国複合材料学会年次講演会に併せて開催されます.さらに同月後半には,秋田にて第39回複合材料シンポジウムが開催されます.関連行事として,スペインで第16回欧州複合材料会議(ECCM-16)も予定されています.会員の皆様におかれましては,これらに積極的に参加していただき研究の切磋琢磨をお願いしたいと存じます. 昨年は新たに複合材料を対象とした経産省関連の大型プロジェクトが立ち上がるなど,政府においても構造材料としての認知が広まるとともに,航空宇宙,自動車などの我が国の経済基盤を支える分野においてますます期待をされております.また,これらのプロジェクトのリーダー,中核メンバーはいずれも本学会会員であり,学術と技術を両輪として,本会の活動が益々発展することを期待しております. このように,これまでの諸先輩のご活躍により,本会の活動は順風満帆に見えますが,逆にこれだけ社会的な責任が強くなってきますと,本会の法人化がますます重要になってきます.幸い影山前会長のお膳立てもあり,昨年第6号の学会誌でご説明申し上げましたとおり現在着々と準備が進んでおります.こちらのほうも会員の皆様のご理解とご支援を賜りたく,よろしくお願い申し上げます. 航空機に関しては,主構造が複合材料の旅客機がほぼ実現したと言ってよい時代が来たと思います.次は,「昔は自動車は金属だったね」という初夢を実現すべく,皆様のご活躍を祈念して,就任のご挨拶とさせていただきます. | ||
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学会の第一義的な役割は、研究情報の交換や成果の発表といった会員相互の交流を通じた共創の場(co-creation platform)を提供すること、その学会の専門分野に関する研究成果の専門家評価(peer review)を行うことにあります。日本複合材料学会では、国内研究者相互の研究交流を目的として、日本複合材料合同会議(JCCM、日本材料学会と共催)と複合材料シンポジウムを開催するとともに、国際交流の視点から国際複合材料会議(ICCM)、日米複合材料会議、日中複合材料会議、日韓複合材料会議等の国際あるいは二国間の研究集会を共催してきました。また、同分野の専門家による研究成果の評価に関しては、邦文誌「日本複合材料学会誌」と欧文誌「Advanced Composite Materials」を編集して刊行するとともに、林賞、論文賞、技術賞をはじめとする学会賞を選考して、複合材料分野における優れた研究開発成果を顕彰してまいりました。 研究交流においては大学・研究機関と企業間の、いわゆる産学官連携が重要な課題であります。しかしながら、我が国の産学官連携に関しては、近年制度的に大きな変革があり、学会のあり方について再検討を迫られていると考えます。大学等技術移転促進法(TLO法、1998)、産業活力再生特別措置法(日本版バイドール法、1999)、知的財産基本法(2002)、国立大学法人法(2003)等、米国を先例として我が国の産学官連携活動の枠組みを定める法律や支援体制が整備されてきました。その結果、国公私立・独立法人を問わず、大学や研究機関でなされた研究成果の法人帰属や特許等の知的財産権をベースにした技術移転など、研究者個人をベースにした産学官連携から法人間の産学官連携に大きく転換しました。学会の活動は個人が主体であり、研究集会や論文をベースに行われる成果普及の意味と位置付けについて、社会から新たな課題が学会に投げかけられたと言えます。 これからの学会の役割を考えるとき、「知の公共性」(publicness of knowledge)という意識が重要ではないかと考えます。具体的には、社会における諸課題の解決に当学会が専門とする研究成果を役立てること、そのために当該専門分野の発展と社会的重要性を高める努力すること、新技術の導入に対する社会的合意形成の手助けをすること、若手人材育成やアウトリーチ活動といった複合材料をより身近な材料とする取り組みなど、社会的存在としての学会を強く認識し、当学会の社会における必要性と重要性を高めていく努力をすべきであると思います。産業活力の再生や経済的効果など、直接的な利益を狙う知的財産権ベースの産学連携活動とは一線を画し、我が国のそして世界の複合材料に関する学術水準の向上と、それを広く社会に役立てていくことについて、本学会の長期的で継続的な取り組みが求められています。そのための、学会の基盤的な取り組みとして、我が国のそして世界の複合材料研究者ネットワークの中核として機能する学会体制整備、そして社会に対してより透明性の高い組織運営を目指していきたいと思います。 | ||
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今期より、日本複合材料学会の会長を務めさせていただくことになりました。微力ですが学会の発展のために努力していきたいと考えていますので、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。まずは、武田展雄 前会長の2年間にわたる、複合材料学会の活動の活性化への様々なご努力だけでなく、私が会長としての活動を始めるにあたって十分なご配慮をいただいたことを深く感謝いたします。 ところで、歴代の会長のもとで日本複合材料学会の活動の骨組はほぼ完成の状態にあると思われます。現執行部ではこの骨組を産学官のすべての会員にとって活動しやすい形に合わせていくことが課題であると思われます。私は、今までに学会が培ってきた会員間の協力関係と国際性などの複合材料学会のよき伝統を大切にして、本会の更なる発展を目指す方策を探っていきたいと考えています。 日本の複合材料に関する技術は、カーボン繊維・セラミック繊維・カーボンナノチューブなどの先進素材生産技術能力、複合材料製造・成型技術、複合材料構造の設計・解析技術など多くの分野で世界的トップクラスであると考えています。複合材料分野における日本の競争力を今後長く支え、さらに高めていくには、この分野の設備インフラへの投資だけでなく、それを支えていく研究者・技術者の育成が重要だと考えています。これは大学での教育だけでは不十分で、社会で複合材料に関係することになった研究意欲十分な技術者の再教育が重要だと思います。このためには産官学の共同研究を通しての交流だけでなく、学―学、産―産も含めた人材の多重的な交流が必要です。これを進めるためには各研究者の研究だけでなく近況まで含んだ情報のネットワークが必要となりますが、本学会では様々な行事を通して会員間の比較的親密な関係が確立されており、この点で本学会が大きな貢献をすることが可能であると自負しています。また本学会の魅力でもあると思っています。 ところで、複合材料の研究に関係した講演会は本学会に限らず数多くあり、複合材料への期待が伺われますが、(複合材料に限らずすべての分野で共通かもしれませんが)お互いに幹事の気持ちを慮って出席し合うというようなことが常態化しています。逆にこれが会員の負担になりつつあるという意見も聞きます。この点を考えて国内の関係学協会との、お互いに恩恵を得ることができる最も効率的な連携方法を構築していきたいと考えています。その一つとして(武田前会長のもとで立ち上がったのですが)日本材料学会複合材料部門委員会との講演会の統合・共同開催による講演会の充実の可能性を探っています。そしてこの連携を日本の多すぎる講演会の整理統合のモデルケースとして示すことができればと考えています。 本学会は会員数に比べて国際的な活動が盛んで、本学会の役割は国際的にも十分認知されています。日米、日欧、日中、日韓、日加など二国間国際会議、アジア・オーストラリア複合材料会議(ACCM)、そして国際複合材料会議(ICCM)など数多くの複合材料に関する国際会議が、当学会の主催、共催として開催されています。一つずつ取ればいずれも有意義な会議ですが、すべてに参加することは不可能な状況です。特に2国間の会議は国外の研究者との個人的なつながりを密にしてくれるもので大変魅力的ですが、この開催に当たっては幹事の方々の涙ぐましい努力に頼っているきらいがあります。日本の複合材料研究の発展に大いに寄与するもので、学会としてできるだけの応援をし、この成果を学会全体で大切にしていきたいと考えていますが、個人の献身的な努力を軽減できるような方策を講じることも考えていきたいと考えています。 会員の皆さんが、本学会に参加してまたその中で各人の役割を担って、学術的、あるいは実用的に役に立ったと思えるような有意義で活発な学会運営を図っていきたいと考えています。 最後に、繰り返しになりますが、本学会のために最善の努力を払っていく所存ですので、本学会運営にあたっての皆様のご協力とご支援をよろしくお願いいたします。 | ||
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今期より日本複合材料学会の会長を務めさせていただくことになりました、武田展雄(のぶお)です。微力ですが学会の発展のために努力していきたいと考えますので、皆様のご協力をお願いいたします。まずは、邊 吾一 前会長と執行部の2年間にわたる、会員増強キャンペーン、組織や学会誌の改善、研究発表会の活性化など、継続的なご尽力に深く感謝申し上げたいと思います。私も前期の活動を継承しつつ、更なる発展を目指す方策を行っていきたいと考えます。 日本の複合材料に関する、カーボン繊維などの先進素材産業、複合材料構造の設計・製造技術などは、世界的にもトップクラスであり、たとえば、次世代民間航空機へのCFRP適用化における日本の役割は大きなものであります。産業界を支える大学、研究機関の研究レベルも高く、世界的にも評価されています。世界の中での日本の複合材料分野における優位性を維持し、さらに高めていくには、産官学の研究協力体制の更なる発展が期待されますが、当学会がその中心的役割を果たしていきたいと考えます。 私事になりますが、私は学部4年生の卒業論文で、複合材料の弾性係数の理論解析法を勉強し、修士課程入学後の秋に、学会発足直後の第一回複合材料シンポジウムにて初めて、接着継手の強度推定法に関して学会発表を行いました。その際、林 毅 第一代会長が常に会場最前列に着席され、発表者に的を得た質問を浴びせかけておられました。私の発表に対しても、私が質問されたくないと思っておりましたポイントをついた質問をされ、私はしどろもどろの回答をせざるを得ず、研究の厳しさを学びました。林先生は献身的に学会の発展にご尽力され続けました。私に対しても、その後も折に触れ発表をお聞き下さり、励ましの言葉をいただき、私ももっとオリジナリティーのある論文を書かなければならないと思ったものでした。先生の、後からついて行く者に対してinspireする姿勢は、今でも記憶に残っております。現在学会にある、優れた研究業績を残した若手研究者に与えられる「林賞」や「林エンジニア賞」、シンポジウムでの優れた学会発表に与えられる「林学生賞」は、林先生のご寄付をもとに始められたものですが、常に若手を鼓舞し続けた林先生を偲び、記念するものでもあると思います。林先生の情熱を引き継ぐ我々の世代も、後に続く若手研究者とともに刺激しあい、複合材料に関する発表討論の機会を提供し、複合材料工学の学理の発展とともに、実用化にも役に立つ研究開発など、活発な学会活動を続けていきたいと思います。 前期は邊 吾一 前会長のもと、関西支部の設立、中部・北陸支部の設立をはじめ、日本国内での複合材料に関する研究活動組織の基礎がやっと固められつつあります。国内の関係学協会との、お互いに恩恵を得ることができる最も効率的な連携方法を構築していきたいと考えています。一方、本学会の役割は国際的にも十分認知されてきております。日米、日欧、日中、日韓、日加など二国間国際会議、アジア・オーストラリア複合材料会議(ACCM)、そして国際複合材料会議(ICCM)など数多くの国際会議が、当学会が主催、共催学会として開催されています。いずれも重要な会議でありますが、あまりに大きな負担増にならないように工夫しながら、かつ学術的に有意義な会議としていく努力を行っていきたいと考えます。このような学会活動を担っていただくのは皆様会員各位ですが、会議に参加して学術的、あるいは実用的に役に立ったと思えるような活発な会議運営を図りたいと考えます。これは、国外の研究者との繋がりは、協力、競合の両面から日本の複合材料研究の発展に大いに寄与すると信じるからです。 本年は、まず7月に当学会が主催します一大イベントとしての、ICCM-16(7月9−13日、京都)があります。会議チェアパースンとしてのJAXAの石川航空プログラムディレクターの献身的な努力もあって、世界各国からの数多くの研究者が集う場として是非成功させなければなりません。11月1−2日には韓国・浦項市で日韓複合材料会議が予定されています。来年度ですが、2008年6月には、学会の研究発表会に合わせて伝統のある日米複合材料会議を東京にて開催する準備を進めています。会員各位の積極的なご参加を期待する次第です。 | ||
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学会が若返りのムードの中で、石川隆司前会長の後を継いで5月の総会で第15代会長にはからずも選出されました。当学会に入会して30年近く経ちますが、その間、いろいろな面で勉強させていただき、お世話になった学会での最後の仕事として、微力ではありますが、会長職を務め、日本複合材料学会発展のために、尽力する所存でございます。 昨年の(財)日本学会事務センターの破産に伴う処理に関しては、石川前会長を始め前期の理事会のメンバーの機敏な対応により、当学会の財政上の被害は、他の学会に比べて最小限に留まりました。特に石川前会長の献身的なご努力により、財政の面だけでなく、学会業務中断による混乱を回避するために、学会業務に手馴れた学会支援機構と素早く事務委託の契約を、従来の委託料よりも低額で締結していただきました。さらに、学会員のメーリングリストの捕捉率を従来の30%程度から70%程度まで引き上げていただきましたが、現在では学会員への様々な連絡や案内にこのメーリングリストを有効に使用しています。「雨降って地固まる」のことわざに通りに、日本学会事務センター破産問題が、当理事会の機能を高め、当学会の従来からの懸案事項のいくつかを解決し、スリム化を図ることができました。 次に、学会に一定の貢献があった会員にフェローの称号を送り、今後も学会のキーメンバーとしてご活躍いただくために、昨年導入したフェロー制度ですが、フェロー候補者選考委員会を立ち上げましたので、来年の総会の時には第1回のフェロー会員を発表する予定です。また、故林毅初代会長のご遺産のご寄託を受けて、林記念賞に増設した林エンジニア賞の候補者も来年の総会時には発表したいと考えています。この林エンジニア賞は、企業の若手の研究者に一人でも多く会員になっていただき、学会の活性化を図り、昨年導入した学会の2部門制(大学・研究機関部門と企業部門)と併せて新しいタイプの産学協同を実施し、企業会員に魅力ある学会への脱皮を図ることにあります。 さらに、当学会の長年の懸案である関西支部を同地区の理事、評議員と会員のご協力を得て、今年度中に設立したいと考えています。当学会には、現在、北海道・東北支部、北陸支部、西日本支部がありますが、関東の次に会員数の多い関西地区に支部を作ることにより、学会の一層の活性化が図ることができ、会員へのサービスを強化し、会員増強にも期待できると思います。特に、2007年7月にICCM16(石川隆司実行委員長)をICCM4以来四半世紀ぶりに、当学会の一大行事として京都で開催をしますが、その開催前には関西支部が設立できれば、ICCM16の開催に花を添えることにもなります。 当学会は他の学会に比べて、会員規模の割には、国際交流の面で多くの実績があり、当学会の特徴になっています。学術交流の面も含めて、現在では多くの分野でグローバル化が一層進み、当学会がこれまで力を入れて推進してきた国際交流の方針が正しいことが実証されています。また、当学会で主に研究題目として検討されているCFRP材は、米国と欧州で開発されている次期民間輸送機の主構造部材に相次いで採用されるなど、当学会の役割は益々大きくなっています。一方で、当学会の正会員数は、法人化を目指した一時期に千人近くになりましたが 現在は800人を割り込んだ状態です。 そこで、皆様の周りの方でまだ会員でない方に、正会員に入会するように是非声をかけて頂き、会員数増強にご協力をお願いしたいと思います。 最後に、多くの会員の方に、当学会が魅力ある学会と感じていただくために、理事会が一丸となって学会の活性化に取り組む努力をいたしますが、会員各位におかれましても学会活動への積極的なご参加をお願いして、会長就任の挨拶とさせていただきます。 | ||
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この度、福田博前会長の後を受け、第14代の日本複合材料学会会長を拝命致しました。選挙結果の第1報を聞いた時は、私の年齢から見て「はからずも」という言葉が適切であると感じましたが、拝命した以上、諸先輩が築いてこられましたよき伝統に立脚して、微力ながら全力を出し切って、会務運営の重責を果たして行きたいと存じます。 このためには、藤井副会長、中川副会長をはじめとする理事の皆様、事務局の武田様、さらには、本会会員諸氏のご支援・ご協力が不可欠と考えております。どうか、今後2年間の任期の間、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 先日(5月9日)、引継ぎを兼ねた本年度第1回の理事会が新旧合同で行われ、私は2年間の理事退避期間の後、いきなり新会長という形で出席させていただきました。久しぶりの理事会で感じたことは、理事の年齢が若くなっていること、学会運営をよりよくするために、真剣な議論を行う雰囲気が醸成させていることでした。ぜひ、この機運をもりあげつつ、皆様とともに当学会の改革・発展に邁進したいと考えております。 当学会の抱えている問題につきましては、昨年、学会内に将来構想臨時調査会(略称:臨調、委員長:東北大学 関根英樹教授)が組織されまして、学会の担うべき役割・機能、組織・運営、財政の安定化などについて、かなり踏み込んだ議論がなされました。その結果は、「答申」という形でまとめられております。その全文をここでご披露することは、適切でないと思われますので止めておきますが、かなり大胆な提案などがなされておます。もちろん、私自身は、そのとき、これを受け取る立場になるとは露ほども思わず、ドラスティックな提案を言い立てた側でございました。今になって、受け取る側になってみると、実行には熟慮が必要なものも多々あると感じております。ただ、「臨調」の問題認識は正鵠を得ていたと理解しておりますので、まず、総意了解を取りやすく、できることから手をつけて、学会改革を実施していきたいと考えております。 「臨調」の議論のコアの一つは、活発な産学交流の実現にあると思います。本学会立上げの時は、私はまだ一介の大学院学生でございましたが、シンポジウム・月例研究会などへの企業会員の参加者も多く、活発で理想的な産学交流を行っている元気な学会であると感心した記憶がございます。その後、我が国が幾度かの経済的危機を経たせいか、あるいは官あるいは学の研究態度に問題があったか、最近の本学会の講演会などでは、産の方のご参加が相対的にかなり少なくなってしまい、産学交流の本来あるべき姿からは、かなり離れたものになっていると感じ、これではいけないと、焦りを憶えている次第であります。このような風潮を反映してか、企業に在籍する若手会員の入会数は決して多いとは言えず、私に課せられた課題の第一は、産学交流の活発化と、企業の若手会員の獲得にあると考えております。 このことも含めまして、「臨調答申」の指摘事項の実現方策を真剣に議論するために、今期は特別委員会「臨調対策委員会」を設置して、日本大学 邉 吾一教授に委員長になっていただき、踏み込んだ検討を始める予定としております。これから、機会を捕えて、一般会員の皆様にも、当ホームページなどを通じて、議論の流れを紹介して行くことも検討しておりますので、メーリングリストなどを活用されて、会員の皆様の忌憚のないご意見などを伺いたく存じております。 本学会のもう一つの問題点、財政の安定化に関しましても、対策の王道は、「学会を魅力あるものにし、議論を活発化して会員数を増やす」に尽きます。ただ、この実現には多少の時間を要するものと考えられます。そこで、本学会の会員であられる先生方は、複合材料の分野では日本一のスペシャリストばかりであるという強みを利用した受託研究の仕組みなどを活用して、財政のカンフル注射なども視野に入れた検討を行いたいと考えています。ただ、この処置はあくまで応急で、この薬がないと生きていけないような体質になることは避けねばならないという自戒を持つ必要もございます。 最後になりましたが、本学会会員が研究対象とされます複合材料を着想したのと同様の基本理念に立ち帰って、産と学の複合、ベテラン学者と若手研究者の複合、幅の広い実用研究と高度な学術研究の複合、などを促進する場所としての日本複合材料学会の改革と発展のために、理事、会員、事務局の皆様のご支援を賜りますことを重ねてお願い申し上げまして、就任のご挨拶とさせていただきます。 | ||
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このたび会長という大役を仰せつかりました。もとより非力で指導力もありませんが、与えられた任務を無事果たせるよう、微力を尽くす所存です。 日本複合材料学会は1975年、複合材料単独の学会として世界で最初に創立され、小粒ながら大きな力を発揮してきました。たとえば国際会議では1982年のICCM-4の主催を筆頭に、日米、日ソ、日欧、日中等の2国間会議も精力的に開催し、また1998年に設立されたAACMの主要構成メンバーでもあります。出版関係では、複合材料ハンドブック(1989)、知る事典シリーズ、複合材料力学入門(1997)、複合材料活用事典(2001)等の単行本の編集・刊行ならびに日本複合材料学会誌、Advanced Composite Materials誌の定期発行を行い、また行事関係では春と秋には研究発表講演会、シンポジウムを開催するなど、情報発信を続けております。 ところが残念ながら、バブル崩壊後の長期にわたるrecessionは我々の学会にも大きく影を落とし、学会法人化をめざしていた頃の会員数1000余人から、現在では維持会員・学生会員を合わせても750人程度に落ち込んでおります。また財政も一見健全のようですが、たとえば2000 年度でいえば、日米複合材料会議と複合材料活用事典という、単発的な収益によって支えられているのが現状です。 では複合材料に未来はないのでしょうか。決してそんなことはありません。私は以前、"ずっと後生の人が「21世紀は複合材料の時代であった」とよぶかも知れないことを我々は否定できないのです"(複合材料入門、大月書店)と書いたことがありますが、国際的にも、またまわりの学会でも、複合材料に関する研究発表は激増しております。内容面でも幅と奥行きができたと同時に、スマート複合材料やナノコンポジットなど、新しい芽も生まれ育っております。 複合材料の未来を手元にたぐりよせるキーは、1人1人の"思い入れ"ではないでしょうか。会員の皆様が研究・開発に打ち込み、情熱をもって学生や後輩に語りかけ、成果や問題点を複合材料学会に持ち込む、またお隣さんの学協会と良い意味での競争と連携を行いつつ、我々の学会にいま一歩軸足を移す、そうすることにより求心力もでき、未来が開けるものと思います。お互いに力を合わせて頑張りましょう。 最後に、多くの会員の方に、当学会が魅力ある学会と感じていただくために、理事会が一丸となって学会の活性化に取り組む努力をいたしますが、会員各位におかれましても学会活動への積極的なご参加をお願いして、会長就任の挨拶とさせていただきます。 | ||
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1999/2000年度の2年間日本複合材料学会第12代会長をつとめさせて参りましたが,この度その職を降りることになりました.この間,会員の皆様方からいただいたご支援とご激励の数々に心より感謝申し上げる次第です. 振り返ってみますと,世紀を跨ぐこの時期に会長を仰せつかり,本学会の飛躍を切に願って船出したものの小職の力不足はいかんともし難く,甚だ芳しくない状態で次期会長の福田博先生にバトンタッチすることになりましたことは,非常に申し訳なく,心残りであります. この間,学会の活性化と会員の増員に努めて参りました.しかし,会員増強のため8ヶ月の長きにわたって入会キャンペーンを実施したのですが,結果的には会員数の減少をとうとう止めることができず正会員数も維持会員数も減らす結果となり残念でなりません.とは申しますものの,明るい話題もございました.まず,2000年度秋の学会創立25周年記念と冠して企画し,11年ぶりに大阪で開催されました第24回複合材料シンポジウムは,一般講演112件(他特別講演など8件)でこれまでの最大規模のシンポジウムとなったことがあげられるでしょう.参加者も初めて200名の大台を越え,学会創立25周年記念を飾るに相応しく大盛会でありました.つぎに,学会レベルでの日韓の複合材料分野の学術交流を活発にするべく,第25回複合材料シンポジウムの際に,日韓ジョイントセッションを設け,ここから普段着の日韓交流が始まったことです.韓国からは予定以上の講演発表(15件)と25名の参加者があり,一般講演81件(他特別講演など4件),非常に盛り上がったシンポジウムとなり大いに友好を深めることができました.ちなみに今年は交替で Seoul National Universityにて開催されます韓国複合材料学会の秋のシンポジウムの中に第2回日韓ジョイントセッションが設けられます.さらに学会創立25周年を記念してページ数903という立派な「複合材料活用事典」を今年3月に出版できたことを上げることができます. この書は今日まで蓄積してきた複合材料の技術・データをまとめたもので,現場のユーザに大いに役立つ実用書として活用されることと考えております. また,支部の拡大・充実が進んでおります.東北支部は,東北・北海道支部としてすでに活動しており,また九州支部は,来年早々から四国・中国地区会員を含めて西部支部として活動することになっております.関西地区につきましては従来通り既存の複合材料関係団体より全面的協力を約束していただいております.またこの学会ホームページも遅ればせながら開設され,順次完備されて会員の皆様へ迅速な情報提供の便宜がはかれるものと期待しております. このように在任中の理事・役員をはじめ関係者のご協力とご熱意により,種々基盤も備わり,明るい展望も開かれつつあります.最後に今後とも会員の皆様方のなお一層のご支援と積極的な学会活動へのご参加をお願いし,退任のご挨拶とさせていただきます. | ||